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qualia 1 Production Note #05 qualia 1フレンドレビュー

qualia 1のリリースにあたって、事前に音楽的な親交のある4名にマスターファイルを聴いて頂いて、レビューをお願いしました。

Fumiakiさんの新作「qualia 1」は、旅の音楽だと思う。
それも、日常から遠く離れた、どこか知らない異国の風景。
 
――導入部の、現実感からの乖離、とてつもなく広大な空間を想起させるアンビエンス。続く”Altar Track”のどこか寂しげなクリック音に始まる、民族的でエモーショナルな世界観は、これまでの彼の音楽におけるサウンドスケープとは、まったく異質のものだ。フロアを意識したDJツールではないという特徴を除いても、その音から生まれるイメージは、今や記号と化した「インダストリアル」な機械的・退廃的ヴィジュアルとは合致しない。明らかになにか別の、非日常的な、異文化に立ち向かったときの繊細な心情の変化が表れているように思う。
 
誤解をおそれずに言えば、それに最も近い感覚は「旅情」だ。好奇心と孤独と、決意。全10作からなる「Presence」という長い旅を終え、最小限の、本当に必要な荷物だけを携えた「qualia」という新しい旅は、すでに始まっている。周りに広がるのは未知の世界。自ずと、彼の内面の既知のサウンドが無二のアイデンティティとして浮かび上がってくる。
 
そうした旅先で、「Presence」からの2曲のリミックス、そして新曲で唯一のツールライクなミニマルトラック”Gate of Zero”では、敢えて過去を振り返る試みにも取り組んでいる。数少ない積み荷の中から選ばれたパーツで再構築された音楽は、自然体で、かつ無駄がない。
 
“Twilight Wharf”は、印象的なピアノに先導されるように荒々しいリズムが姿を表す。低音域の重厚さはかつてのハードテクノを連想させるが、その響きは、洗練されたミックスによって、あくまで軽やかだ。浮遊するシンセパッドとの絡みの妙を楽しんでほしい。
 
そして終曲が、静かに夜の訪れを告げる。
本作は「1」と銘打たれている。旅は終わらない。
次の旅先からは、どのような便りが届けられるだろうか。
 

Reviewer : R-9 / @epxstudio (EPX studio)
フリーランスのWEB制作者にして漫画家、テクノクリエイター、DJとしてマルチに活躍。前作Presenceの盟友としてレビューをお願いしました。漫画家としてはM3と同日に開催のコミティアにサークルB2Bとして参加。また来月11/20に新たなテクノパーティ”Body Inform“を立ち上げるとのことで、要チェックです。

近年、ダブステップやミニマルテクノを吸収して急速に発展しているインダストリアルテクノをベースにした新たな潮流に乗った珠玉の硬質テクノ群。
 
ストレートな四つ打ちから、ダウンテンポ的、ダブステップ的なものまで、バリエーション豊かな作品群はリスニングにもフロア向けにも機能する。
 
透明感のある上モノと重厚で破壊的なビートが同居する音像が耳に心地よい。
 
Fumiaki Kobayashiのこれまでのキャリアに裏打ちされた技術に基づく、新たなトレンドへの挑戦を味わえる野心的な作品だ。

 
Reviewer : Kei F / @gomma (5015: Sesame & Strawberry)
あのAdam Beyerも購読しているテクノ紹介ブログを運営するDJ。非常に高いDJスキルもさることながら、その高い分析力により技術論文さながらのテクノシーン論を展開した同人誌をコミケでひっそり発行したりして、界隈を騒然とさせているテクノ文筆家。今回はその分析力を見込んでレビューをお願いしました。先述の”Body Inform“に出演予定。

重々しく幻想的なサウンドの導きに沿って進むと、次第に緊迫したドラマティックな空気が広がってゆく。
 
やがてマシンの鼓動が力強い息吹となって、空間を震わせる。
 
そこにはネクストレベルまで押し上げられたFumiaki Kobayashiの音楽観があった。
 

Reviewer : Atsushi Ohara / @atsushio (LINEAR)
老舗のアキバ系ミクスチャークラブパーティー”LINEAR”代表にしてDJ、コンポーザー。最近は雑誌でのインタビュアやライターとしても活躍中。彼もPresenceを共にした盟友としてレビューをお願いしました。直近ではオレも出演する11/12″秋葉原重工“に出演。LINEARも年が明けて少ししたら開催予定!

“Presence”シリーズから1年後のいまという時間軸は、その間に横たわる3.11という日付をどうしても意識してしまうし、実際、友人の呼び掛けで震災後しばらくして催された音作りの合宿でも、最初は当時どんな状況で対峙していたかという話を延々していて、みんな無事でよかったよかったなんて話をしていたけど、音作りに関してはあまり進まなかったというか、そこに集まったそれぞれがどんな方向に向かおうとしているのか…文字通りの暗中模索で、フミアキさん本人も導入した機材同士のリンクにひたすら苦心していた様子で、思い出してみても、まだこのアルバムの輪郭も出てなかったと思う(いっぽう、筆者はベロベロになるまで酒をのんだ挙句、夜中こっそり友人のいびきをサンプリングして切り刻むという、まるで生産性のないことをしていた)。
 
そこから半年くらい経ってリリースされるこのアルバム、イラストではなく写真となったジャケットからも、”Presence”シリーズから動きはじめていることが印象づけられているし、アルバムを通して聴いてみてさらにその印象を感じるのは、前シリーズでのフミアキさんのトラックにはあまり見受けられなかった(はずの)、抽象的でありながらも確実に耳に届いてくるメロディーの存在があるからかもしれない。何度目かの再構築となる”remind the form”でのタイトに刻まれるシーケンスは緊張感にあふれるこの曲のムードを支配しているメロディーとも言えるし、アルバムの終盤のトラックで聴こえてくるそれは、一定の距離感を保ちつつもなんらかの感情に寄り添ったようなものであるようにも思える。
 
アルバムリリース告知でのフミアキさんの「今後の音楽との向き合い方を改めて考えてきて、さらに模索していく為の新たな枠組み」という発言を捉えると、このアルバムでその模索の過程が技術的なものにとどまらず、ひたすら自身と向き合ったことであろうことは(このアルバムと前シリーズのとの間に存在する3.11という日が存在していること向きあわざるをえない瞬間があったと思うことも含めて)想像に難くないし、そういった意味でもこのアルバムはとてもパーソナルなアルバムであると思う。しかしそのパーソナルさがひとりよがりなものでなくリスナーにとって開かれたものであることは、前述のメロディアスなトラックの存在だけではなく、深夜のダンスフロアで爆音で鳴らされることを待ち構えている中盤のトラックたちを聴くだけでも明らかだ。
 
そしてアルバムとしては控えめな収録時間ではあるけど、それについてはシリーズの次回作がどんなものになるのか想いを巡らせながら、もういちど最初から視点を変えたりしながら聴いてみるといいかもしれない。なぜならこのアルバムの「消失点」は始めと終わりにそれぞれ存在していてループの構造になっているからだ。

 
Reviewer : wat / @shugoh (Thrust/loopdrive)
あらゆるパーティーに出現してハードとディープの境界を操ってフロアをロックしていく、百戦錬磨の傭兵の如きDJ。またThrustというサークルでトラック制作でも活動中。近しいDJの中では、スタイル的にも信条的にも最も共感出来る方の一人なので、レビューをお願いしました。出演予定を見たらM3と同日の新宿レイヴ”Revo“、先述した秋葉原重工、さらにHYBRID(北海道!)とマジな傭兵っぷりです。

ちょっと遠慮して文字数を曖昧に少な目に指定したら、ものすごいバラつきのある文字数で返って来てしまいましたw自分の中ではアツシ君くらいのひとことレビューで考えてたという…そしてwatさんは申し訳ないくらい悩んでくれて、結果外タレの国内盤のインナーばりのコラムを寄稿してくれました。

各レビューとも、音でもってきちんと伝わることは伝わるものだなぁという手応えを得られて救われましたwそこから、人から人にイメージを橋渡しできるようなプロモーションになればいいなぁというのがこの企画の意図なので、これを読んでるアナタがアルバムに興味を持ってくれることを願います。

ともあれ、レビュアのみなさんありがとうございました!

qualia1 [GAR-q001] Crossfade Demo by gatearrayrecordings
qualia 1 CD Jacket
qualia 1 [GAR-q001]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d
Price : 1000yen (Event Only)
Release on 30,Oct,2011 at M3 2011 autumn.
TRC 1F Hall E / D13b “gatearray recordings”

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pingback from M3 11-10-28 (金) 15:25

[...] もう1つ、こちらはレビューだけですが、gatearray recordingsさんの新作CD「qualia 1」について書かせていただきました。100文字前後という指定だったんですが、、、、長い人が2人いる!ww [...]

pingback from qualia 2 Production Note #03 フレンドレビュー(と最後のご案内) - gatearray recordings blog 12-04-29 (日) 17:34

[...] 前回もやりましたレビュー企画、今回も3名から頂けましたので紹介します! 武骨でいて優雅、無機質で動物的。 相反する要素が、作家のパーソナリティーを軸として自然に同居する [...]

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