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”音楽の科学 音楽の何に魅せられるのか?”読了

”音楽の科学 音楽の何に魅せられるのか?”(原題 THE MUSIC INSTINCT) / フィリップ・ボール

思った以上の大書で読み切るのに4ヶ月もかかってしまいました。

科学というと冷たく解析されてしまうようなイメージがありますが、まったくそんなことはありません。音楽の構造と認知について古代から現代までの発展と、実際の楽曲やそれに伴う文化や既出の学説を紹介し、現代科学でわかってることとわからないことを、非常に公平かつ大変な慎重さで検討している良書です。やはり研究の質と量的に西洋音楽の例が多いですが、音楽の普遍性を追求するために、古代の音楽からごくマイナーな民族音楽や現代音楽まで極力偏りなく取り上げ、音楽理論はもちろんのこと物理学、脳科学、認知心理学の領域まで踏み込んで多角的に丁寧に論じられています。

前半は概ね基本三要素(リズム、メロディ、ハーモニー)の解析。多少は算数、理科と楽典の素養がないと難解かもしれませんが、理論がはっきりしてる箇所が多い分野だし具体的な図示や楽曲(一部はネットで実際に聴けます)が多いのでまだ読みやすい箇所です。特にモードやスケール、コードについて音楽ではなく科学的な見地で理解できるので、非楽器経験者の制作者には理論書としてもいいかもしれません。

後半は人類がどうやって音楽を認知・認識しているのか、どう区別して判断しているのかなどを既出の学説などから考察しています。ここは非常に難しい領域で、具体的な研究内容、実験の解説と問題点を並べて、現在わかってる範囲を絞り込んでいくんですが、やはり音楽自体が人間の脳の中にだけある概念なので、文章で解き明かすには苦しいところではあります。

意外と見落としている音楽の本質と謎について理解が深まって、3800円出して600pを読む価値はありました。とはいえ全然飲み込みきれてないので再読しよう…

ヒーローたちのGUN図鑑

ふと見かけて、一度はスルーしたんだけど翌日買ってましたw

いわゆるミリタリー関係はゲームやアニメや小説なんかで触れることはよくあるし、気にはなるんですが、それだけで一大ジャンルなのでカバーしきれないんですよね…で、ウィキペディアを見てお茶を濁したり。最近も先日紹介した小説でSIGとかPSG-1とか、登場人物の武装で扱われてるんですが、その時もサッとビジュアルと特徴が簡単でも判るといいなー、と丁度思ってました。

本書はあらゆる全ての、とまではいかないけど、メディアで扱われたことのある主要な銃を中心に102の銃器が紹介されています。ハンドガン(ピストル)、ライフル、マシンガン、ショットガン+その他の分類で、一丁につき見開き1ページ、実際のカラー写真と解説、登場作品という構成。

実際にざーっと読んだら、子供の頃はもっと積極的に興味があったんだなーといろいろ思い出しました。M16とかウージーの水鉄砲は持ってたし(当時ターミネーター等の映画の影響で相当流行ってた)、ベレッタM93R(コロコロのリトルコップの影響)のエアガンも持ってました。そういえばメタルギアでも結構詳細な解説がゲーム中で聞けましたね。AK-47なんかは超有名だけど、その超有名ということまで含めてメタルギアで初めて知りましたがwあとゲームでプチ狙撃ブームを生み出したPSG-1とか。

という感じで、それぞれの細かい特徴までは判らないけど、解説が丁寧で愛に溢れてるので、初心者が急にFPSやっても携行する銃器の選択には困らないくらいの情報は得られます。巻末には弾薬の種類と特徴や、被弾した際の人体の壊れ方wの解説まで載っていて、なによりほぼカラーページでこの情報量でたったの600円!お安い!FPS初心者や押井守作品が好きだけど銃器弱者な方は是非。銃器好きでグロッグはオレの嫁らしいizさん情報だとコンビニでも売ってるらしいですwww

「あるいは脳の内に棲む僕の彼女」読了

子供の頃からもともと割と本の虫なんですが、久しぶりに読み応えのある本が、特にSFでは本当に久しぶりに読めたので、軽く書評でも気取ってみたいと思います。

まずはじめに、表紙に騙されてはいけません!一見するとラノベ調のタイトルに萌えキャラと、帯から判るようにアンドロイド主題のSFですが、これは作者が完璧に理解した上で張った罠です。実際の本はハードカバーサイズの400pフルスペック、しかも中身は今やなかなか良作には出会わないという生粋のハードSFです。オレも「またまたこんな表紙使っちゃって」と軽い気持ちで手にとったんですが、パラパラ捲ったところでこれは良い方に裏切られる!と即座にレジに持って行きました。

舞台は近未来の関東。難病持ちのヒキオタが、やはり難病で死亡したネット友達から、最高の機能と完璧な容姿を持つ最新型の医療補助用第四世代人型AI”ゼルフィ・シュプリムTBA”を遺産相続するところから話が始まります。ここまでの件にはアキバ系の小ネタが織り混ぜられ、その道の人はニヤリとする場面が連発します。(例えば、人型AIの製造元VN社”ヴォーグス・ナノテク”は、ガレキ製造販売のボークスが由来)非コミュの主人公と無垢なAIとの出会いは甘々なラブコメ展開を予感させますが、別の場面では裏社会の陰惨なAIスナッフィング(陵辱と拷問)の現場で対象の人型AIが暴走し、人間への反逆と取れる殺戮が書かれ、主人公とAIは次第に陰謀と事件に巻き込まれていきます。

事件の核心に迫る過程では、人工知能の歴史と問題点、”意識”の発生と生命倫理、ポストヒューマンとしての人工生命の可能性などの多くのサブテーマが丹念に書かれています。やや話を詰め込みすぎてる感がありますが、作者は本職が勤務医さんとのことで、パラサイトイヴの瀬名さんを彷彿とさせる丁寧で緻密なSF的世界観です。個人的に把握してる範囲で挙げれば、アシモフ作品に始まり、ヴァーチャルガール、ブレードランナー、究極超人あ?る、銃夢、The Five Star Storys(ファティマ)、ToHeart(HMX-12マルチ)、攻殻機動隊といった、あらゆるジャンルの連綿たる人型AI・アンドロイドものSFの要素を数多く内包し、それらを上手く昇華して新しい解釈、結末へと辿り着いてると思います。

ただし後半?終盤が非常に読み解き辛い。二度読みしてなんとか8割わかったかな、ってとこ。テーマが広すぎるのと難解なメタファーが多く、わざと曖昧にしている部分が多すぎます。最近は自分もラノベを初めとした平易な小説に慣れすぎてる感もあり、正解を曖昧にして読者の考察と解釈に委ねるという箇所についてはそれも甘んじて受けますが。でも前半のSF的解説厨と後半の置き去りペースのギャップはちょっと不親切すぎるかなぁと思います。あと後半は前半より場面や状況の描写が分かりづらいかな。スピードが早過ぎる。上下で600pくらいはかけて欲しかったです。(新人だっての)

読書感としては、ギャルゲーメーカーですがニトロプラスの殺伐さを思い起こさせました。やってないけどカオスヘッドとかシュタインズゲートってこんなカンジかなー、とか。主従関係、人間には絶対服従、人権無き人型の扱いというAIの背景に序盤はファティマを強く想起しましたが、最終的には全身義体や脳の量子化という要素で銃夢、攻殻に収束したイメージです。特にオチの一部は原作・劇場版素子への新しい解答に成り得ると思うので、そのあたりが特に好きな人は是非読んでみて欲しいです。

3次元の存在であるアンドロイドがヒロインなのに、”脳内彼女”というスラングを想起させるタイトルの名づけの引っ掛けは見事でした。

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