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qualia production note

qualia 2 Production Note #03 フレンドレビュー(と最後のご案内)

前回もやりましたレビュー企画、今回も3名から頂けましたので紹介します!


武骨でいて優雅、無機質で動物的。
相反する要素が、作家のパーソナリティーを軸として自然に同居する一枚。
 
オリジナルアルバム"qualia 1"から間を空けずに発表された本作では、前作で定義されたサウンドスケープをそのまま拡張しつつも、これまでの氏の作品になかった新たな表現への挑戦が感じられた。
 
1曲目、深いリバーブのかかった瞑想するようなダブテクノは、前作との連続性を暗に示している。続く"Galungan in Kuta"は、本人が強く影響を受けたと語っていたバリ島での滞在経験が、直接的にサウンドにフィードバックされている、異色の作品。
 
昨今のハードグルーヴ回帰を踏まえたアグレッシブなテクノ"Flash Past"や、過去作のハードテクノをブラッシュアップした"Lost (VersionII)"がそれに続く。いずれも実用的なフロア向けトラックとして、10年以上にわたる長いDJキャリアで培われた「身体性」が、如何なく反映されている。
 
"Altar Track"は、前作収録版では生音に近いピアノとパーカッションで強烈な叙情性を打ち出していたが、ここではそれらが原形を留めないほど溶解して完全に混ざり合ったような、新しいアンビエント・ミックスとして再生。一方で次の"Twilight Wharf"では、オリジナルと同じイメージを保ったまま、リズムトラックがまったく異なるものに差し替えられており、その意外性のある跳ねかたに驚きを感じた。
最後は、ノイズが混信しながら消えていくようなアンビエントで、静かに幕を閉じる。
 
今回のアルバムは、音楽的にはいくつかのスタイルを飲み込みながらも、方向性は一貫しており、あたかもバラバラに立てられているように見える道標が、実は同じ行き先を示しているようなところがある。それは、氏が自ら「私小説的」と表現しているように、ごくプライベートな体験や感情をソースとして自然と表出してきた音を、前作から半年という短い露光時間で「撮影」できているが故なのかもしれない。
 
だとすれば、それらの道標が次に何を指し示しているのか。
本作を聴いて、まだ見ぬその先の風景にぜひイメージを巡らせてほしい。

Reviewer : R-9 / @epxstudio (EPX studio)
フリーランスのWEB制作者にして漫画家、テクノクリエイター、DJとしてマルチに活躍。直近では5/5コミティアに漫画家としてサークル参加、5/20に茶箱でドラムンベースイベント"SBCDNB"を開催するようです。

前作qualia 1がインダストリアル・テクノの新たな潮流への挑戦であるならば、今作qualia 2は新たな潮流の創造を感じられる。現在の主流となりつつある大胆な音使いを踏まえつつ、時にノイジーで暴力的に、時に美しく神秘的に響く音像は、独特の儚さ、美しさを包有している。よりストレートなメロディーラインでありながらよりストレンジな音選びをしていて、素人向けでもあり、玄人向けでもある。前作よりも深みを増したFumiaki Kobayashiの世界を堪能できるスペシャルな一枚を、フロアにも、ベッドルームにも。
Reviewer : Kei F / @gomma (5015: Sesame & Strawberry)
オンラインDJのプレイログとチャートを取り続けるブログ”5015: Sesame & Strawberry”を運営するDJにして、同人テクノ文筆作家。最近お忙しいのか活動を見かけてませんが、頼んだら快く引き受けてくれました。箱で聴きたいので誰かブッキングしてください!


いわゆる同人音楽界隈なら、このアルバムがリリースされるM3が約半年のスパンで開催されることから、半年おきのリリースペースが普通に思えてしまうかもしれないが、テクノのアルバムとしては、ともすれば異例というか異常とも言えるようなハイペースでリリースされる、フミアキさんによる[qualia] シリーズの2作目。
 
前作のレビューで、このシリーズが「模索の過程」であることは既に挙げさせていただいたが、今回は「行程の記録」とも言えるかもしれない。
 
旅行で赴いたというバリ島で受けたものがモロにとも言えるくらい出ているM-2、陰鬱かドラッギーかのどちらかに触れがちなこの辺りの音の中では、かなりニュートラルなバランス感覚で紡がれているダブステップ(というか2ステップ)的アプローチのM-6、そしてなによりも、橋(≒道)の外側から道のど真ん中に出たようなジャケットからも、意識的なのか無意識的なのか、前作のように内側を軸にすることにとどまらず、外での行程から受けたもの(記録や記憶)を内側で再構築したような部分が顕れているように思える。そしてその行程の光景は「例のキック!」とニヤリとしながら言えるようなM-4の、豪快なうねりとともに加速していく。前作にあった消失点は、もう遙か遠くだ。
 
その行程は3作目に引き続き、そしてこのアルバムを会場で手に取った人たちが、3作目への最初の行程を紡ぐのだ。あとはこのアルバムの音たちとともにどこかへ行くかだ。さっさと出かけていく、外へ、内へ。

Reviewer : wat / @shugoh (Thrust/loopdrive)
DJにしてテクノサークルThrustで活動するトラックメーカー。最近では秋葉原重工の同僚、ですねw相変わらず界隈では頼もしさのあるアクティブなDJ活動をしてますが、直近では話題の都市型レイヴRe:animationに出演、5/5のコミティアにもThrustで出展される予定です。

今回も音に対する姿勢や感性を信頼をしている3名に、素敵なレビューをしていただきました。各位お忙しい中、ありがとうございました!三者三様の視点や切り口があったり、逆に共通して感じてもらった印象もありますが、qualiaの根底にある一連の流れを的確に感じ取ってもらえていて、嬉しいです。前回同様、このレビューを通じて少しでも多くの人に興味を持って頂けたらと思います。

というわけでいよいよ明日M3で販売開始です!

M3-2012春@東京流通センター
第二展示場二階 あ-08b gatearray recordings
新譜 [GAR-q002]qualia 2 / 1,000Yen
新譜先着特典[GAR-TZ03]テクノ三昧#3(Ustream番組を録画したDVD-R, 無くなり次第終了)
旧譜 [GAR-q001]qualia 1 / 1,000Yen

先着特典は今回かなり数に限りがありますので、欲しい方は是非お早めにお買い求め下さい!

委託については今回もとらのあなさんにお願いするつもりですが、まだ申し込んでませんので暫く掛かると思います。出来る限り自家通販にも対応したいと思っています。とりあえず来れそうな方は是非会場に足を運んでください!音楽好きなら絶対楽しいと思いますので!


qualia 2 [GAR-q002]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d

  1. Disgusted at Rainy Days
  2. Galungan in Kuta
  3. Flash Past
  4. Lost (VersionII)
  5. Altar Track (Spring Dub Mix)
  6. Twilight Wharf (Night Vision Mix)
  7. 35 Tones Circulation

Price : 1000yen (Event Only Price) / 1500yen (Shop Price)
Release on 30,Apr,2012 at M3-2012Spring.
TRC あ08b “gatearray recordings”

qualia 2 Production Note #02 各トラック解説

はいはいまた長文ですよ〜。今回は曲とか機材(というかソフトウェア)解説

1. Disgusted at Rainy Days
今年の冬は雨が多くてうんざりしたねっていう曲です。湿って暗い=ダブみたいなのも安直でどうかとは思いますが…。図らずも先日ご紹介したtecraさんの新譜がダブミニマルメインでしたが、ミニマルをやる上で聖典ベーシックチャンネルをどう読み解くのか。影を追い求めつつカウンターを忍ばせたくて作った曲です。やいばのしたにこころあり。

ベーチャンの音って当時のアナログエンジニアリングの中でも、闇プロ的な裏技術で作られてると思うんですが、今の高度なソフトウェアのなんでもありな世界って、ある意味もっとえげつないことができちゃうという。なので、逆に今こそベーチャンの何がかっこよかったのかを見極めて、あの世界観を自己流で拡張してやるくらいの意気込みで取り組みました。ベーチャン聴く度に、これ20年前に先にやられてたら絶対勝てないわーと思っちゃうんですけど、最近は自戒的に20年以上前の曲にビビってんじゃねーよ!と思ってます(信者に殺されそう…)

それにしても二重、三重のディレイ、リバーブのセンドリターンが結線なしに組めたり、オートメーションが何度でも書き直せたりは、現代の特権ですねー。逆にアナログ的な変質やクロストーク的な信号、回路由来のノイズで出る空気感みたいなものは当然難しい。今回わざとらしいのを承知であえてオシレーターノイズを全編に流しこんでみましたが、このへんはハードウェアの持つ偶発性の面白みには敵いませんねぇ。

2. Galungan in Kuta
2月にバリ島に行きまして、案の定というか予定通りというかガムラン、特にジェゴグにすっかり魅了されました。詳しくはその時の日記を読んでもらうとして、プールサイドから部屋へ帰る途中でよく聴いた、ホテルのロビーから屋外へ抜けて聞こえてくるティンクリックの音と、クタの夜に聴いたジェゴグの低域の呻り、この2つを記憶に閉じ込める作業として制作しました。

一瞬本気で本物の竹ガムランを買おうかと検索したんですが、流石にサンプリングCDをお取り寄せしました。バリの音階はインドネシアの音楽とも微妙に異なる5音階で、琉球音階とかと同じでそれさえ押さえてれば雰囲気は出せます…厳密にはハーフトーンがあったり西洋音階とチューニングが違う(しかも竹ぶった切ってるだけだから楽器ごと適当ズレてる)けど、そこ凝っちゃうとシンセとか他のパート入れられなくなっちゃうので(;´Д`)ティンクリックは二台で一組の原則を踏襲してパン振ってチューニングずらしてプログラムしてあります、確か。でも打ち込みはいつも通り、あえて生っぽくはしてないです。低域のジェゴグは独特の呻りだけ欲しかったので、打撃音を殺すためにKontaktのToneMachineでシンセっぽい音に加工してあります。まぁ本物のソニックブームには到底追いつかないので、雰囲気だけ…

他のパートも雰囲気だけ作ってますwので全体的には全然習作です。所々出てくる波の音は実際にクタビーチ(全然綺麗じゃない)でiPhoneで録音した音です。

3. Flash Past
(いろんな意味で)真っ暗の中仕事してる時に見る、流れてる街灯をイメージして作った曲です。一番最近のミニマルっぽい曲で胸熱ですね。ほとんど一周して戻ってきてる感じですが、Stroboscopic Artefactsとかの後追い感しかないwもあ〜って鳴ってるのはReaktorのプリセットで、Industrial Technoの人は使ってる人多いんじゃないかなー。リズムはほとんどSonicCharge MicroTonicです。今回かなり切羽詰まってて、MachineDrumからCubaseに取り込む余裕無さそうだったんで、代用としてVSTiのコイツで猛烈な勢いで音作ってましたが、代用以上の活躍をしてくれました。Synplantと違ってシンプルで基本を抑えたリズムマシンででオススメ。

もう少しアグレッシブな変化を付けないとDadubとかXhinには勝てませんねぇ。わざと中域を空け気味に作ってあって、自分のDJ用の実用度としては良しとしてますw

4. Lost (VersionII)
全然制作が進まず、取り急ぎ曲数を稼ぐためにSoundCloudに上げてたPresence 002の曲のライブ向けリミックスを焼き直しましたです…(;´Д`)まぁ結構気に入ってる曲なのでちゃんと出したかったのもあります。でもプラグインの都合でミックスからマスタリングまではやり直してて、前のは潰してるだけって感じでしたが、こっちは立体的にミックスしつつ、音の立ち上がりを良くしてるつもりです。好みでお好きな方をご利用下さい。

コレで使ってるキックは汎用性が高くて、ゴリゴリのハードテクノばっかり作ってた頃に褒められた曲は大体このキックでしたw(唯一の商業ですら使ってるわw)アタックとリリースどちらも金属的で独特です。参考までにDanceMegaDrums2のどっかに入ってます。

5. Altar Track (Spring Dub Mix)
前作の二曲目をドローン化した曲です。去年リリースされたBvdub/Thenが超絶ドローン盤で、ちょうど自分がやりたかったことをすっかりやられてしまって、しっかり参考にさせてもらいましたw

和声学的にこれはアウトというか、言ったらおしまいなんですが、数学的な分割で作られた(厳密論は置いといて)西洋音階はある程度協和〜不協和の度合いがあるにしても、どんな重ね方してもそうそう破綻しないなと思ってて、クラスター的な不協和音の中に協和音があると仮定して、そこから協和音を取り出す作業をすると。というところまではいってませんが、バックグラウンドに二つの4音コードを同時に鳴らした不協和ドローンがずっと鳴ってて、そこに個別のコードを入れると浮き上がってくるかな、という実験をしてます。文章だと全然わけわかんないですね…。

でも今年吹き荒れた春の嵐っぽい感じで結構気に入ってます。

6. Twilight Wharf (Night Vision Mix)
最初Burialっぽいダブステップを作ろうとして見事に頓挫した挙句、前作のリミックスに方向修正して結局Scubaみたいになってない?っていう曲です。ダブステップは案外雑に作れるんじゃないか、という雑な発想から取り掛かって、途中までは雑で良い感じだったんですが…うーん。微妙な空気感とかリズムのズッコケ感とか、思ってるほど緻密ではない気がしてるんですが(例えば古いリズムマシンに直でビンテージコンプ複数かけるみたいな)、ウワモノがまったく解析できないでいます。ブラックミュージックからサンプリングしてるっていうヒントはあるんだけど。そうこうしてるうちに新作で進化してる感あるBurial…

っていうか最近ダブステップって連呼してると、気をつけないとイメージのスレ違いが起きてるんですよね…すっかりロックとかテクノと同レベルの曖昧ジャンルにまで成り上がりましたねー(ニッコリ)

リミックスなので流用してますが、リズムだけ完全入替え。ベース以外はわりといじってますね。ピアノのバッキングなんか原曲からそのままサンプリングしたものを加工してますが、相当無理やりアタック感出してます。

7. 35 Tones Circulation
制作に追われてる最中に残念ながら35歳の誕生日を迎えたので、35個の音が回転してるだけの残念な曲を作りました。メロはSonicCharge Synplantを3本、同じ音色で微妙に設定をずらしたものを並行して、一つにモジュレーションをかけつつ鳴らしてます。Synplantのモジュレーションの変態ぶりが遺憾なく発揮されてます。キーはF(苦笑)シーケンスはReaktorのプリセットでクルクル回転するシーケンサがあって、それで自動生成してます。これ気に入ったのでまた使いますw動画で見せたいw

これもそうなんですが、最近は自動作曲というか演繹的に生成出来るシーケンスに興味があって。一番簡単な例で言うとアルペジエーターなんですが、古くはKOAN PROみたいな、指向性をパラメーターで設定して延々シーケンスを生成して曲を作ってみたくて。別にラクをしたいわけじゃなくて、自分の感覚をパラメーター化してシステムにかけることで、自分のイメージを超えるシーケンスが作れたら面白いなぁと、上手く説明できないけどそういう感じです。っていうかKOAN PROみたいなソフト現行でないですかね…

あと、シーケンスだけだとなんか寂しかったのでノイズを適当に入れましたが、なんか今回どの曲もよくわからない”制作者が意図したノイズ”ばっかりですいません…購入した人全員に返品されかねないレベル…

◯マスタリング
前作同様コンプでガシガシ潰したりはしてませんが、工程は変えました。前作はリリース後に聴いたら、なんか音像がぼんやりしてるように思ってガッカリしたのでそのへん気をつけた(というか多分使ったプラグインが悪かった)のと、シリーズ的には音圧より透明感と立体感を高くしていく気持ちでやってます。

今回は大まかに書くと、曲は-6db(peakで)くらいを狙ってミックスしといて、Vintage Warmer(Kneeを少し上げて少しドライブ)Magneto(少しテープサチュ+質感を変える)SSL G-Master Bus Comp(アタック感調整)Pulse-Tech EQ(低、中域下げ)NEQ-1972(中、高域上げ)Invisible Limiter(レベルゼロ合わせのみ)標準フェーダー(曲毎レベル調整)Invisible Limiter(ちょっとだけ音圧稼ぎ)44.1変換という感じでした。

EQ設定はうろ覚えでちょっと違ったかもしれません。どちらも年末セールで買ったNomadFactory全部入りに入ってたもので、ここのメーカーのはどこのフォーラムでも結構ボロクソに叩かれてますが、(セール価格から考えたら)かなり良い方だと思います。かかりが分かりにくいと言われるのは、逆に言えば慎重にかけれるし、嘘くさいビンテージ臭と言われてるのは、ビンテージスイッチを切って使えば大丈夫wと、これ以上突っ込むとキリがないのでやめますが、WAVESとかUAとか手が出なければこっちでいい気がしてます。逆にそれらとの差がわかるなら、そっちが買えるだけの金を得る能力があると思いますw

アナログビンテージEQの何がいいって、帯域が決まってるとこw最初っからおいしいポイントになってるのでめんどくさくない。細かいピーク取りとかのEQは、少なくとも一人完パケの場合はミックスの時点で済ませられますし、そこで気づかなければマスタリングでどうこう出来るもんじゃないし。まぁこちとら根っからアマチュアで、アナログビンテージEQなんて当然実機触った事無いですから、そのへんはノリというか気分でぶっこんでます。

Dyn系はVintageWarmerはさすがに使い古した感があるので、他のチューブ系でいいのがあれば変えてもいいなぁという気がしてます。その後のMagnetoは更に古いんですが(Steinbergはサポート辞めてる)、これのColorノブが他には代えがたい効果があって…代替え品捜索中。フェーダーはFreeG使いたかったんですが、うちの環境上手く動かなかった…。Invisible Limiterは日本の方が作ってるっていうかもう知ってる人は知ってるであろう秀逸なリミッターです。フリーで持ってた頃とはだいぶ変わってたんで今回買いました。L2とかL3並に突っ込める(突っ込まないけど)のと、オーバーサンプリングが出来るのが(効果の程はよくわかんないけど)面白いです。てか安い。


qualia 2 [GAR-q002]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d

  1. Disgusted at Rainy Days
  2. Galungan in Kuta
  3. Flash Past
  4. Lost (VersionII)
  5. Altar Track (Spring Dub Mix)
  6. Twilight Wharf (Night Vision Mix)
  7. 35 Tones Circulation

Price : 1000yen (Event Only Price) / 1500yen (Shop Price)
Release on 30,Apr,2012 at M3-2012Spring.
TRC あ08b “gatearray recordings”

qualia 2 Production Note #01 制作記

というわけで今回もぼちぼちライナーを書いてみます。前作からのライナーは“qualia production note”タグで遡ってみてください。

テーマというか、制作の意図とかについては前作であらかた書いたのと変わらないんですが、今回は単純に生活(というか仕事)の負荷が高すぎる状況(現在も継続中)と、自分の能力不足というか至らなさで制作には相当苦しみました。一応1月中旬くらいからqualia2に向けた格好で機材は触ってて、バリ島にも持って行ってたし、3月上旬にはここうさん、R-9君と熱海で制作合宿もやってました(日記書きそびれた)。それでも3月中旬くらいまでほんっとになんも出て来なくてかなり焦りました。結局は前作からのリミックス2曲、SoundCloudに上げてる曲の再調整1曲を入れてようやく7曲という体たらくで、お恥ずかしい限り…その分完全新曲で出してるものも含めて、ギリギリで捻出したにも関わらず、全体ではそこそこ満足度の高いものが出来たので良かったです。

そういえば7曲というのは特に意図があるわけではなくて、フルでもないけどミニでもなく、アルバムって言い張れるギリギリの数で、半年スパンのリリースで自分が扱いきれるギリギリの数がこれくらいっていうことみたいです。

ジャケットの仕様については、前回御意見をチラホラ頂きまして(っていうか中身落とすよねw俺も3回くらい落としたwww)変えようかと思ってたんですが、2回目でコロッと変えるのも癪だったので同じにしました。その代わり、前回は写真が縦長に繋がってた関係で変則的なジャケットの向きでしたが、今回は標準的な横開きで見る向きのジャケットです。後ろは写真繋がってませんが、どうなってるかは是非現物を見てください(結構ベタですが)。内側も12d君の手加減なしの美麗アートワークになってます。基本的に線がビャーっとなっててカッコイイの!みたいな指示を初回に出したっきりなんですが、今回も上がってきたデザインを見ると細かいところまですごい真剣に取り組んでくれてて、やはり出来る子は違うなぁと思いました。感謝しきり。

(12d君はものすごいメンツでFiveDotOneという5.1chメディアの企画もやってるので、そちらも是非チェックしてみてください。M3ではウチの近く、あ11aです。)

写真も負けないようにしないとなぁと思いつつ、今回はちょっと詰が甘かったですね。もうちょっとビシッと絞りたかったんですけど、極寒の深夜に強風にさらされてる歩道橋の上で撮ってたんで、どうしてもシャッタースピードを上げていかないと三脚使っててもブレてしまって。圧縮効果を出したかったので300mmあたりまで伸ばしてるし。平日の深夜3時とかなのに、意外と車がいなくなるタイミングも無いし、風も滅多に止まないし、ホント辛かったです。事前にロケハンはしてあったんですが、ちと見込みが甘かった。

場所は実家から歩いて10分くらいの、都筑阪急の真横です。

大きな地図で見る
丁度谷を通り抜ける区役所通りを真っ直ぐブチ抜けるんですよね。そしていつも見てる道のこのオレンジ色の鮮やかさ。夜って黒のイメージがありますけど、個人的にはこの路肩灯のオレンジが好きです。ジャケでqualiaロゴがかかってるあたりは俺がよく行く温泉があるモール(港北みなも)ですwww

なんか長文であんまり面白い話にならなくてすみませんが、次回は各曲とマスタリング解説。


qualia 2 [GAR-q002]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d

  1. Disgusted at Rainy Days
  2. Galungan in Kuta
  3. Flash Past
  4. Lost (VersionII)
  5. Altar Track (Spring Dub Mix)
  6. Twilight Wharf (Night Vision Mix)
  7. 35 Tones Circulation

Price : 1000yen (Event Only Price) / 1500yen (Shop Price)
Release on 30,Apr,2012 at M3-2012Spring.
TRC あ08b “gatearray recordings”

qualia 1 Production Note #05 qualia 1フレンドレビュー

qualia 1のリリースにあたって、事前に音楽的な親交のある4名にマスターファイルを聴いて頂いて、レビューをお願いしました。

Fumiakiさんの新作「qualia 1」は、旅の音楽だと思う。
それも、日常から遠く離れた、どこか知らない異国の風景。
 
――導入部の、現実感からの乖離、とてつもなく広大な空間を想起させるアンビエンス。続く”Altar Track”のどこか寂しげなクリック音に始まる、民族的でエモーショナルな世界観は、これまでの彼の音楽におけるサウンドスケープとは、まったく異質のものだ。フロアを意識したDJツールではないという特徴を除いても、その音から生まれるイメージは、今や記号と化した「インダストリアル」な機械的・退廃的ヴィジュアルとは合致しない。明らかになにか別の、非日常的な、異文化に立ち向かったときの繊細な心情の変化が表れているように思う。
 
誤解をおそれずに言えば、それに最も近い感覚は「旅情」だ。好奇心と孤独と、決意。全10作からなる「Presence」という長い旅を終え、最小限の、本当に必要な荷物だけを携えた「qualia」という新しい旅は、すでに始まっている。周りに広がるのは未知の世界。自ずと、彼の内面の既知のサウンドが無二のアイデンティティとして浮かび上がってくる。
 
そうした旅先で、「Presence」からの2曲のリミックス、そして新曲で唯一のツールライクなミニマルトラック”Gate of Zero”では、敢えて過去を振り返る試みにも取り組んでいる。数少ない積み荷の中から選ばれたパーツで再構築された音楽は、自然体で、かつ無駄がない。
 
“Twilight Wharf”は、印象的なピアノに先導されるように荒々しいリズムが姿を表す。低音域の重厚さはかつてのハードテクノを連想させるが、その響きは、洗練されたミックスによって、あくまで軽やかだ。浮遊するシンセパッドとの絡みの妙を楽しんでほしい。
 
そして終曲が、静かに夜の訪れを告げる。
本作は「1」と銘打たれている。旅は終わらない。
次の旅先からは、どのような便りが届けられるだろうか。
 

Reviewer : R-9 / @epxstudio (EPX studio)
フリーランスのWEB制作者にして漫画家、テクノクリエイター、DJとしてマルチに活躍。前作Presenceの盟友としてレビューをお願いしました。漫画家としてはM3と同日に開催のコミティアにサークルB2Bとして参加。また来月11/20に新たなテクノパーティ”Body Inform“を立ち上げるとのことで、要チェックです。

近年、ダブステップやミニマルテクノを吸収して急速に発展しているインダストリアルテクノをベースにした新たな潮流に乗った珠玉の硬質テクノ群。
 
ストレートな四つ打ちから、ダウンテンポ的、ダブステップ的なものまで、バリエーション豊かな作品群はリスニングにもフロア向けにも機能する。
 
透明感のある上モノと重厚で破壊的なビートが同居する音像が耳に心地よい。
 
Fumiaki Kobayashiのこれまでのキャリアに裏打ちされた技術に基づく、新たなトレンドへの挑戦を味わえる野心的な作品だ。

 
Reviewer : Kei F / @gomma (5015: Sesame & Strawberry)
あのAdam Beyerも購読しているテクノ紹介ブログを運営するDJ。非常に高いDJスキルもさることながら、その高い分析力により技術論文さながらのテクノシーン論を展開した同人誌をコミケでひっそり発行したりして、界隈を騒然とさせているテクノ文筆家。今回はその分析力を見込んでレビューをお願いしました。先述の”Body Inform“に出演予定。

重々しく幻想的なサウンドの導きに沿って進むと、次第に緊迫したドラマティックな空気が広がってゆく。
 
やがてマシンの鼓動が力強い息吹となって、空間を震わせる。
 
そこにはネクストレベルまで押し上げられたFumiaki Kobayashiの音楽観があった。
 

Reviewer : Atsushi Ohara / @atsushio (LINEAR)
老舗のアキバ系ミクスチャークラブパーティー”LINEAR”代表にしてDJ、コンポーザー。最近は雑誌でのインタビュアやライターとしても活躍中。彼もPresenceを共にした盟友としてレビューをお願いしました。直近ではオレも出演する11/12″秋葉原重工“に出演。LINEARも年が明けて少ししたら開催予定!

“Presence”シリーズから1年後のいまという時間軸は、その間に横たわる3.11という日付をどうしても意識してしまうし、実際、友人の呼び掛けで震災後しばらくして催された音作りの合宿でも、最初は当時どんな状況で対峙していたかという話を延々していて、みんな無事でよかったよかったなんて話をしていたけど、音作りに関してはあまり進まなかったというか、そこに集まったそれぞれがどんな方向に向かおうとしているのか…文字通りの暗中模索で、フミアキさん本人も導入した機材同士のリンクにひたすら苦心していた様子で、思い出してみても、まだこのアルバムの輪郭も出てなかったと思う(いっぽう、筆者はベロベロになるまで酒をのんだ挙句、夜中こっそり友人のいびきをサンプリングして切り刻むという、まるで生産性のないことをしていた)。
 
そこから半年くらい経ってリリースされるこのアルバム、イラストではなく写真となったジャケットからも、”Presence”シリーズから動きはじめていることが印象づけられているし、アルバムを通して聴いてみてさらにその印象を感じるのは、前シリーズでのフミアキさんのトラックにはあまり見受けられなかった(はずの)、抽象的でありながらも確実に耳に届いてくるメロディーの存在があるからかもしれない。何度目かの再構築となる”remind the form”でのタイトに刻まれるシーケンスは緊張感にあふれるこの曲のムードを支配しているメロディーとも言えるし、アルバムの終盤のトラックで聴こえてくるそれは、一定の距離感を保ちつつもなんらかの感情に寄り添ったようなものであるようにも思える。
 
アルバムリリース告知でのフミアキさんの「今後の音楽との向き合い方を改めて考えてきて、さらに模索していく為の新たな枠組み」という発言を捉えると、このアルバムでその模索の過程が技術的なものにとどまらず、ひたすら自身と向き合ったことであろうことは(このアルバムと前シリーズのとの間に存在する3.11という日が存在していること向きあわざるをえない瞬間があったと思うことも含めて)想像に難くないし、そういった意味でもこのアルバムはとてもパーソナルなアルバムであると思う。しかしそのパーソナルさがひとりよがりなものでなくリスナーにとって開かれたものであることは、前述のメロディアスなトラックの存在だけではなく、深夜のダンスフロアで爆音で鳴らされることを待ち構えている中盤のトラックたちを聴くだけでも明らかだ。
 
そしてアルバムとしては控えめな収録時間ではあるけど、それについてはシリーズの次回作がどんなものになるのか想いを巡らせながら、もういちど最初から視点を変えたりしながら聴いてみるといいかもしれない。なぜならこのアルバムの「消失点」は始めと終わりにそれぞれ存在していてループの構造になっているからだ。

 
Reviewer : wat / @shugoh (Thrust/loopdrive)
あらゆるパーティーに出現してハードとディープの境界を操ってフロアをロックしていく、百戦錬磨の傭兵の如きDJ。またThrustというサークルでトラック制作でも活動中。近しいDJの中では、スタイル的にも信条的にも最も共感出来る方の一人なので、レビューをお願いしました。出演予定を見たらM3と同日の新宿レイヴ”Revo“、先述した秋葉原重工、さらにHYBRID(北海道!)とマジな傭兵っぷりです。

ちょっと遠慮して文字数を曖昧に少な目に指定したら、ものすごいバラつきのある文字数で返って来てしまいましたw自分の中ではアツシ君くらいのひとことレビューで考えてたという…そしてwatさんは申し訳ないくらい悩んでくれて、結果外タレの国内盤のインナーばりのコラムを寄稿してくれました。

各レビューとも、音でもってきちんと伝わることは伝わるものだなぁという手応えを得られて救われましたwそこから、人から人にイメージを橋渡しできるようなプロモーションになればいいなぁというのがこの企画の意図なので、これを読んでるアナタがアルバムに興味を持ってくれることを願います。

ともあれ、レビュアのみなさんありがとうございました!

qualia1 [GAR-q001] Crossfade Demo by gatearrayrecordings
qualia 1 CD Jacket
qualia 1 [GAR-q001]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d
Price : 1000yen (Event Only)
Release on 30,Oct,2011 at M3 2011 autumn.
TRC 1F Hall E / D13b “gatearray recordings”

qualia 1 Production Note #04 各トラック解説

なんかここまで文章がかなりぐにゃぐにゃですみません…読み返してひどかった。実はここ一週間、というか最近慢性的に世を忍ぶ仮の姿(本業ともいう)が地獄のような忙しさでして。睡眠削って勢いで書いてました。すげー恥ずかしいことを雑に書いてきてる気がするけど気にせず勢いで先に行きますw

今回は曲解説ということで書いてみたいと思います。

1.Voice from Vanishing Point Part1
今一番やりたい音楽は実はドローンで、もうこれだけで1時間くらい作りたいほどでwで、初めてこういった曲(?)を作ったんですが意外と大変なことがわかりました。単音や和音のロングトーンを多用しているので、アタマの打鍵情報がないと再生できない、つまり展開を作ってて途中から再生するっていうことができないんですよ…結局パラメーターを調整してはシンセトラックをフリーズするという作業の繰り返しで作りました。

使ってるシンセは全てSonic Charge Synplantで、この曲に限らずアルバム全編で多用しています。音程のある音やドローンノイズ等の9割はこのシンセ。ウェーブシェイプ出来る2OSC+FM変調というハイブリッド構成で、変態ノイズからキラキラシンセまで、分厚くてポテンシャルの高い音が作れます。あとリバーブが秀逸。ノードと呼ばれる音階別モジュレーションがかなり予測不可能なのと、かゆいところに手が届かない部分が多いのが欠点で、相当クセがあると思います。なぜだかオレにはしっくりきた。これで作ってみてダメならMassiveかVangurdで作るって序列になってます。

2.Altar Track
Metal Black the firstというゲームのアレンジサントラが大好きで、今でもよく聴いてるんですが、その中の2曲(AREA26-10とTime)のリズムが元になってます。昔からこの6/8で構成するパーカッションが物凄くダンサブルに感じていて、オリバーホーにも通じるトライバルミニマルのフォーマットが作れるんじゃないかと思っていました。

今回実験的にいろんなパーカッションをなんとなく雰囲気が出るまで重ねてみて、やっぱミニマルで作るのは難しかったので、適当に音程のあるテクスチャーを貼っていった感じです。リズム全部、ワンショット音をあえてベロシティもクオンタイズもベタ打ちにして組んでます。結果的に都市の民族音楽みたいな不思議な曲が出来て、もともと民族音楽的なものは好きなので今後この方向性は追求してみようと思ってます。

メロディはギリギリで入れることにしたんですが、Synplantのチューニング用に入れてたmdaのピアノ音源をそのまま流用してみたら案外ハマったのでそのままw和声や対位法は少しかじりましたがほとんど無学で、その薄弱な知識でいかにギリギリ不安定なメロを成立させるか、というこれも実験でしたw一部明らかな不協和音がありますが、曲に傷を付ける気持ちで残してあります。このピアノでギリギリ不安定な、というのが面白くてTr6やTr7でも同じようにやっていて、そちらではさらにグリッチしたので、この曲のピアノにもフィードバックしています。やっすいピアノ音源をグリッチするのが最高です。

この曲はBPMは160なんですが、イントロのクリック音で4/4のBPM120で取れるように仕込んであります。ディープハウスとかの間に使えるかもしれません。

3.Remind the Form (qualia mix)
当初の習作集の案では音雲に上げてあるPresenceのリミックスにさらにリミックスを追加してお茶を濁しまくろうという魂胆があって^^;そのさらに追加するリミックスが残った感じです。これ(元はPresence001収録)とTr4(同010収録)でPresenceシリーズを内包しているよ!という解釈にしたくて、この2曲を選んだのは事実。

原曲のRemind the Formは今でも自分のDJで軸に出来るくらい強力なトラックなんですが、昔ライブ用に取り込んであったパーツを改めてKONTAKTに放り込んで、新しく再構築できないかとアレコレ試しているうちに、この艶やかなアルペジオが出来てしまったという感じです。あれはオリジナルにあったブレイクのノイズの音から作ってるんですが、自分でも経緯が思い出せないくらい複雑な変調をしてああいう音になってます。リズムはもちろんSurgeonのTransparent Radiationの影響。

これはひょっとしたらさらに強力なトラックになったんじゃないかと、自分でもビックリしてます。

4.Presence (qualia mix)
元のPresenceという曲を作った時点で、次の企画に通じる為の楽曲の再帰性みたいなものを仕組んであって、予定通り順当にリミックスした感じです。安易な流用ではなく、一定以上の強度のあるモチーフを別の曲に転用することを前提に用意して、元の曲とシリーズの深みを作る帰納法的な作曲アプローチを考えていて、この曲はその試行でした。

オリジナルでは”Presence”という女性の発音をグリッチしたあとローファイにしてましたが、今回は全然違う変調をしてみました。KONTAKTのtone machineで和声にしてFFTスペクトル分解エフェクトで引き伸ばしてます。

リズムは単音サンプルとMinimalというフリーのアナログリズムマシンっぽいプラグインです。ヒステリックなフレーズシンセはCubase付属のMysticです。スペクトル合成系のシンセはこういう痛い音ばっかりできちゃいますね…

5.Gate of Zero
Free Dommune Zeroのゲート前でずぶ濡れになって帰ってきた日の夜に、適当にマシンドラムを叩いて仮組みしてあったパターンが元になってますw作った曲で実際の記憶を補強するのはこれからも積極的にやっていこうと思ってます。曲自体はマシンドラムでベーシックなミニマルを作る実験です。この曲では展開までをマシンドラムで組んで、全てのパートをパラで曲の頭から終わりまでCubaseに録音してからミックスしてます。

そのElektron Machinedrumは、「Remind the Form」を作り出した初代sps-1から、自分で波形が突っ込める最新モデル sps-1 mkII UW+Driveという長い名前のモデルに乗り換えて使ってます。フルデジタルとは信じられないほど良い意味で不安定な出音で、同じトラックの音でも録音した波形を見ると発音の度に出音が変わってるというwアナログの電圧の不安定性からエミュレートしてるんですかねwww低音もちょっとありえない周波数が出ていて、逆に削らないと鳴りがキツすぎるという。

イントロの怖い音と途中のグラストーンはSynplantで後付けしました。あとカッっていう音は某Knock Knockと同じサンプリング元ですw

6.Twilight Wharf
遅いインダストリアルを作ろうと思ってリズムをなんとなくマシンドラムで仮組みした時点から一向に進まなくて、とても難航しました。結局これも仮置きしていたピアノからコードを付けて、入れた音をグリッチしまくって一気に進めたらこんな叙情エレクトロニカになってたという。マシンドラムはTr5とは違って一小節を録音したものをCubase上で切り貼りしています。これは手法として明確な基準はないんですがケースバイケースで。

ピアノはDSKというフリーのデベロッパのプラグインなんですが、空間の鳴りがものすごくヘッポコで気に入ってますw古い録音機材で録ったピアノみたいな。ただ恐ろしく挙動が不安定だったので、ループで書き出して使いました。よく聴いてプチプチノイズが鳴ってるのに気づいたら、それはこいつのせいです。

7.Voice from Vanishing Point Part2
Tr1の別バージョンって感じにする予定だったんですが、試しにSonic Charge Mutonicでリズムをつけてみたらハマったので、そのままダウンビートのチルアウトになりました。

Tr1で作った声っぽい音が気に入ったので、音階をつけてメロにしてみようと思ったんですが、Synplantの特殊なモジュレーションで偶然出た音なので、ひとつの音程でしかこの音が出ないという問題にぶち当たって。結局ひとつの音程につき一台立ち上げるという力技で解決
、おかげで3音でフレーズを作って済ませましたw

たしかBPMが66なので132のミニマルと合わせたら面白いかもしれません。

その他
今までは変化するパラメータのひとつ、1ポイントに至るまで神経質に偏執的に決めないと気が済まないという怖い作り方をしていたんですが、今回の制作で、ざっっくり作ってみて耳で聴いて良ければ、機械の判断やランダム性を受け入れるというおおらかさを身に付けました。今までに比べて肩の力抜けたなぁ。

ミックスもコンプ中心の音作りからEQ中心にシフトしました。不必要に潰したり歪ませて音量を稼いだりしてたんですが、今回はトラックごとの余分なピークを抑えて、EQなどで周波数バランスを整えて音量感を出すというのを意識しています。音楽にダイナミクスはあったほうが楽しいです。

マスタリングに関しては能力不足で追い込みが甘いかなぁという気もしてますが、ミックスの時点でかなり頑張ったので作業自体は比較的スムーズでした。テープ系、ビンテージ系コンプ、EQ二種類、リミッターっていう感じですが、アタマの二つはほとんど質感を変えるだけなのと音量を調整するるだけで、最後のリミッターも余分なピークを抑えこむだけです。音圧はどうでもいいんですがもう少し艶っぽさが出せたらなぁ、と思ってます。今後の課題。

qualia1 [GAR-q001] Crossfade Demo by gatearrayrecordings
qualia 1 CD Jacket
qualia 1 [GAR-q001]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d
Price : 1000yen (Event Only)
Release on 30,Oct,2011 at M3 2011 autumn.
TRC 1F Hall E / D13b “gatearray recordings”

qualia 1 Production Note #03 楽曲制作コンセプトと手法

今まで楽曲制作に関しては長いこと、自分でもDJで使いたいのでツール系ばっかり作ってるんですが、どこか負い目というかネガティブな意識があってですね。自虐的に「DJツールだからDJ以外の人は興味ないよね、売れないよね」みたいな…もちろんDJツールも好きだし作るのも楽しいけど、音楽的な表現することをめんどくさがって狭いフォーマットに逃げてる気もしてて。

DJはわりと後に始めたんで、音楽を作り始めた原点を考えたら、それで表現したいものが多分あったなって。だからもっといろんな人にちょっと聴いてみて!って自信を持って渡せるような楽曲を、難しくてもセンスなくても、もう少し自分の内側から出せたらなと。よく周りの人に冗談めかして「徳の高い音楽が作りたい」っていう言い方をしてますがwあと「母親に渡せるCD」とかwwwそんなわけでダサくてもショボくても言い訳したり逃げずに、表現者・アーティストとして毅然として立ち振るまおうと決めました。潔くかっこよく、です。まぁ今までのイメージもあるし、サボりすぎてたので技術的にも一発でそこまで辿りつけるわけではないので、一貫して徳の高さを目指していくための連作という枠組みが、このqualiaの楽曲制作上の目標です。

あ、もちろんDJツールとしての楽曲や制作スタイルを否定するわけじゃなく、自分の中でその境界線を曖昧にしたいというのが、気分としては近いです。後付けというか、結果的に楽曲として楽しめたりDJで使ってみたらいけた、ってなれば面白いなと思ってます。今さらテクノというか、エレクトリックミュージックという枠からはさすがに外れられないですしね。

そんなこともあって制作手順もかなり変わりました。手をつけるときにとりあえずBPM決めたり4つキックを並べてー、みたいなことはやめました。曲の雰囲気やモチーフから入るようにしてます。あとPCDJになってから繋ぐためののりしろを気にしなくなったり、展開を好きに組み替えたりしてきて、DJ向きな曲作りのフォーマットに縛られなくても済むようになったなと思ってて、それを曲にもフィードバックしていけたらなーと思ってます。

ただ、さすがにまったくの自由というのは難しいもので、以前使ってた制約が無い分別のガイドラインを設けています。特にqualiaに関しては20項目くらいあって、ループサンプルは使わないとか、音程があるものはオシレーターから作るとか、コンプで潰したり歪ませたりしないとか、いろいろあります。こうしたガイドラインがあると、迷ったときに決めやすいし、アルバム全体で自然と音の指向性が揃うので、かなりやりやすかったです。

それは企画書で詰めてあるんですが、他にもスプレッドシートでトラック毎の進捗管理をやったり、アルバム制作のマネジメントをある程度確立できたのも良かったですね。仕事も生活もあって、そこから気持ちだけで作ってるとどうしてもダレたりめげたりしちゃうので。

qualia1 [GAR-q001] Crossfade Demo by gatearrayrecordings
qualia 1 CD Jacket
qualia 1 [GAR-q001]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d
Price : 1000yen (Event Only)
Release on 30,Oct,2011 at M3 2011 autumn.
TRC 1F Hall E / D13b “gatearray recordings”

qualia 1 Production Note #02 パッケージとタイトル

予想通り話がぐっちゃぐちゃになってますが、気にせず書きますw

動機で書いたように、パッケージまで含めて形ある作品として完成させようと決めたので、仕様は可能な限り拘ることにしました。M3直接納品なので仕上がりはオレもお楽しみなんですが、具体的にはマット紙パッケージで表は全面写真と最小限の情報、内側と盤面は12d君渾身のダークなアートワークになってます。一時期CDという媒体、特に一般的なプラケース、ジュエルケースという仕様については辟易としていたんですが、作るからにはそういう自分がポジティブになれる、持っていても渡して気分が良くなるものを、と思って作りました。特に、人に渡した時の反応を想像することはモチベーションにとってかなりプラスでしたし。

qualia 1 CD Jacket
ジャケットに使用した写真ですが、自分でロケハンして撮影に行きました。丁度一年前にちょっとだけ本格ぶった写真をやり始めたんですが、後述のタイトルの意味やテーマから考えて、ジャケットは自分で撮った写真にすることにしました。何か自分の目で捉えたものを作品として落とし込みたい、といったとこです。場所が地元のインターチェンジだったのでもっとぐしゃっとした画にするかと思いきや(そういうのも何パターンも撮ってた)、綺麗でシンプルなものにしてしまいましたが、空のグラデーションは綺麗に出せたと思います。ちなみにジャケットを縦に開くと空に向かって写真が伸びるようになってます。

Presenceは人物イラストのジャケで、あれはあれで意味があったんですが、それとは対照的な風景写真になったのはなかなか面白いです。このシリーズでは自分が日常の中で見つけたカッコイイもの、ステキなものをジャケットとして紹介してく予定です。ダムとかw

qualiaというタイトルですが、具体的にはウィキペディア参照として、人はどうやって物を認識しているのか、という脳科学や認知心理学、哲学に渡る問題です。この言葉は結構前にlainなどで知られるイラストレーターの安倍さんの影響で知りました(余談ですがPresenceも安倍さんに多くの影響を受けてましたw)。とある画集のあとがきで読んだんですが、安倍さんはデッサンを書いてる時に、鉛筆の線の集合がどこから絵として捉えられるのか、その認識が立ち上がる瞬間の脳の働きについて拘ったのが最初だったそうです。オレも学生時代に音について同じようなことを考えていて、読んだ時に共感を覚えました。多分大学の勉強でフーリエ変換ですべての音が単一周波数のサイン波に分解出来るというのを感覚的に理解した時です。それでなくてもこれは意外と誰でも考えたことはある普遍的なテーマかもですね。赤いはどうして赤いのかってヤツ。

実際に曲単位でそれを深刻に意識して制作してはいないんですが、メディア全体を作品として、自分と自分が知覚する世界の接点や境界線みたいなのを雰囲気的なテーマにしたかったので、前からどっかで名前に使おうと思ってたのを丁度良く当て嵌めた感じです。写真は目でパッケージは触覚で音源は聴覚って感じです。嗅覚と味覚はさすが難しいですからねw

ちなみにPの次でqというのは偶然の一致ですw

qualia1 [GAR-q001] Crossfade Demo by gatearrayrecordings
qualia 1 CD Jacket
qualia 1 [GAR-q001]
Music & Photography : Fumiaki Kobayashi
Design : 12d
Price : 1000yen (Event Only)
Release on 30,Oct,2011 at M3 2011 autumn.
TRC 1F Hall E / D13b “gatearray recordings”

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